段階別練習法

  練習しているのにゴルフのスコアが縮まらない、と嘆く人がいる。

  まぁ、嘆かない人の方が珍しいのだが、そういう人に共通する過ちが、一つある。

  それは「上手くなろうとする順番が間違っている」ということに尽きる。100を切れないプレーヤーが、ドライバーの快打を目指して練習に励んでも、その練習はスコアアップのためにはまったく役にたたない。まず違うものが上手くならなければならないのである。

  では、いったいどういう順番で上手くなって行くべきなだろうか。

  まず、110が切れないプレーヤーの場合である。このレベルのプレーヤーは、まずなにより7番以下のアイアンでほぼ真っ直ぐな球を打てるように練習すべきである。これは、110以上打ってしまうプレーヤーの多くが、フェアウェイでのチョロやドダフリで余計なストロークを献上してしまっているからである。この場合、正確な距離は未だ必要ではない。とにかく前に飛べば良い。

  次に、100が切れないプレーヤーの場合である。この場合は、50y以下のアプローチショットが、とにかくグリーンに乗るように練習すべきである。ピンに寄る必要はない。20平方メートルくらいのグリーンに乗りさえすれば良いのだ。100が切れないプレーヤーはほぼ間違い無く50y以下の距離から4ストローク以上の余計な打数を費やしている。

  95が切れないプレーヤーはドライバーを練習すべきである。このあたりからやや厳しくなるが、200y以上の距離が出て、幅80yほどの曲がり幅に収まるようなドライバーショットを練習すべきである。このレベルのプレーヤーは概ね余計なOBでストロークを損している。

  90を切るには、50y以下の距離から最低3打で上がれるようにしなければならない。つまり、乗せてイージー2パットになるようにアプローチに磨きを掛けるべきである。このレベルのプレーヤーはまだセカンドショットをグリーンオンさせることを考えてはいけないレベルである。そのフォローが重要なのだ。

  85を切るにはいよいよセカンドショットで3割グリーンオンという難関に突入する。84で上がるには最低6回パーをセーブする必要がある。つまり3割、ラウンドにつき5.4回はショットがグリーンを捕らえなければ苦しいのである。7番以下のアイアンが毎回決まった方向と距離に飛ばなければ、これは実現できない。

  80を切るにはとにかくドライバーが上手くならなければならない。最低230yの飛距離と、10ホール中7回はフェアウェイをキープする事が必要である。OBは厳禁だ。このレベルであれば、飛距離よりも方向性の方が重要である。

  75を切るには…、このレベルになれば最早ひとかどのゴルファーである。ハンディキャップは一桁であろう。ここまでくれば、課題は最早一つ。そう、パットである。1m以下のパットは絶対に外してはいけない。2m以下のパットも7割は入れたい。

  え?72を切るには?…知りません。つーか、僕はそこまで行った事が無いので。ただ、このレベルになればもう、アイアンがピン筋を指すとか、ドライバーで280yも飛んで5割はフェアウェイを捕らえるとかいう世界になる事だけは疑い無い。

  さて、段階別に解説してみたが、なぜこの様な段階別の練習が必要なのかと不思議に思う人もいるだろう。一足飛びにドライバーを練習する、もしくはパットに磨きを掛けることがなぜいけないのか?

  理由は簡単である。難しいからだ。アイアンがろくに当たらないのにドライバーばかり練習しても当たる筈が無い。よしんば当たったとしても、そのスイングはドライバーに特化した変則スイングに成り果てているだろう。初心者でパターだけは異常に上手い人がたまにいるが、それでも他が駄目ならやはりスコアは縮まらない。途中で叩けばグリーンに着く頃には疲れ果て、集中力を失っているだろう。

  ゴルフのスコアを作る鉄則は、簡単な事を簡単にやるということである。ショートアイアンでそこそこ真っ直ぐな球を打つことぐらい、コーチと共に練習場に3時間も滞在すれば出来るようになるものだ。50y以下のアプローチをグリーンに乗せることも、まじめにやればすぐ出来るようになる。コースでその簡単なことが簡単に実践することが出来れば、スコアは必ず縮まるものなのである。

  簡単な事から順に練習して行けば、難しいことにチャレンジしなくてもスコアは縮まって行く。後は本人の努力と熱意に掛っている。まぁ、アンダーパーの世界まで行けば才能も関わってくるのだろうが、少なくとも75くらいまでは練習の量と仕方による。

  ゴルフは魔法でもなければ特殊技術でもない。普通のことを順に普通に練習して行けは必ず上達するものなのだ。


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