ダフリ


 さて、ダフるってどういう語源なのだろうか。英語?調べたのだが良く分からなかった。擬音ということはあるまいと思うが。

 とにかくダフリである。ゴルフにおけるミスショットの中で最も多いミスがこれであろう。はっきり言うがダフったことが無いゴルファーなどいない。そして、困ったことに、ダフリを撲滅出来たゴルファーもまたいないのである。

 プロゴルファーだってダフる。いや、世界のトッププロだってダフる。だって私はあのタイガー・ウッズがダフったのを見たことがある。昔、ジャック・ニクラウスがどダフリかましたビデオ映像も見たこともある。

 なんでダフリは撲滅出来ないのだろうか。簡単に言えば、ダフリというミスが微妙過ぎるからである。ボールの手前、僅か数ミリにクラブが入っただけでダフリになる。なにせ、猛スピードで振られたクラブの先、直径数センチのボールの位置の、数ミリである。それはもう何かの拍子、プロでも何か意図しない要素がスイングに入っただけでダフリになってしまうのである。

 まぁ、それは高いレベルでの話ではある。それとは別に、初心者が悩まされるダフリというものがある。要するに、ダフって芝と泥の方がボールよりも飛んでしまうようなショットのことだ。これの原因は何なのだろうか。

 これはもう、単純にボールを掬い上げているということに尽きる。初心者はしばしばゴルフクラブをしゃもじかお玉に見立てて、ボールのお尻を叩き上げようとしてしまうのである。これをやると、まぁ、余程器用なプレーヤーでも無い限りダフってしまう。それはボールを掬い上げる際に、クラブのヘッドが入れられるボールの下のスペースが少な過ぎるからである。

 ダフリを減らすためには正しいスイング軌道でクラブを振るのが近道である。いわゆるダウンブロー(ボールのやや上から潰すような軌道)でクラブを振った場合、ボールのヒッティングゾーンはボールの赤道から下半分全体となる。これに対して掬い上げた場合には、ボールの下、ほぼ芝と接した部分一点にクラブが当たらなければならない。この差は特にラフなど難しいなライからボールを打つ場合大きな差となる。

 もう一つ、ハンドファーストにインパクトすることも大事だ。ボールの先のターフが取れるイメージ。これによってダフリの確立を更に減らすことが出来る。クラブを手よりも遅らせた状態でインパクト出来れば、余程のことが無い限りどダフリはしないものである。

 ダウンスイングで身体の回転が止まるとダフリ易い。これは手打ちになるとクラブを上から鋭角に叩きつけ易くなるからである。身体がスムーズに回転しないので、ハンドファーストにインパクトすることが難しくなるからでもある。

 初心者が犯し易いダフリミスの原因は概ねこんな感じだが、実は上級者がダフる原因も程度の差はあれ同じなのだ。ただし、上級者はスイングが出来ているので、ミスっても現れるミスが小さくなるだけのことだ。ちなみに、上級者がよく「あ、噛んだ」などと言うが、これは「あ、ダフった」と言っているのである。ちょっとかっこ良く言ってみたい時はこう言ってみるといい。ただし草鞋みたいなターフを飛ばすくらいダフっておいて「噛んだ」などというと「ダフリだろ!」という突込みが当然入るので、状況を読んで使おう。

 最後にダフリ易いライについてだが、これは圧倒的にぬかるんだライがダフリ易い。乾いた地面は、クラブヘッドをある程度弾いてくれるので、ダフリをかなりごまかしてくれるのである。ちなみに、練習場の人工芝。あれは相当ダフったショットもナイスショットにしてくれてしまう。だから、練習場でナイスショットなのにコースではダフるという場合は、そもそも練習場でもダフっていたのだと考えたほうがいい。

 芝が薄い場合もダフる。これはダフリを警戒して上から打ち込み過ぎて、身体の回転が止まってしまうからだ。逆に深いラフもダフリ易いが、これもやはり力任せに打ち込んでしまうからである。芝にボールが浮いている絶好のライも意外にダフるが、これは打ち上げるイメージを持ってしまい易いからだ。

 抑えたスイングをしようとするとダフる場合がある。これはスイングを減速しようとして身体が止まるからだ。このため、半端な距離のアプローチショットは最もダフリ易いショットの一つである。スイングを小さくしても身体の回転スピードを落とさないことがダフらないためのコツだ。

 初心者のことを「ダッファー」という。ようはダフる人というくらいの意味らしい。ダフリを克服することは難しいが、その関門を越えなければゴルフの初心者マークは外せないのである。



TOP